004 番外編
スクープを撮る 1.
1974年8月30日12:45分 三菱重工本社ビル爆破事件をテレビのニュースで知り
社旗をつけたバイクに飛び乗って丸の内に急行した。
三菱重工業東京本社ビルや向かいの三菱電機ビルの路上に駐車していた乗用車は潰れ、
歩道は窓ガラスの破片があふれていた。
1974〜75年(昭和49〜50年)の日本を震撼させた連続企業爆破事件の始まりだった。
翌年1975年5月19日付朝刊1面トップ、三菱重工本社ビルをはじめとした
「爆破犯 数人に逮捕状 けさ10ヵ所を家宅捜査」のスクープでサンケイ新聞は第23回菊池寛賞、
一般社団法人 日本新聞協会賞を受賞した。
▼昭和50年5月19日 サンケイ新聞夕刊に掲載された大道寺将司死刑囚逮捕のスクープ紙面。
ここより2015年5月19日付産経新聞より小野義雄さんの記事です。
あの5秒は何だったか
爆破犯逮捕をスクープ撮影 小野義雄氏
捜査員を追跡し、大道寺将司死刑囚の逮捕の瞬間をスクープしたカメラマン
「あの5秒は何だったんだろうか ーと今でも思う。逮捕日の早朝、社会部記者と愛宕署から出て行く警察車両を追いかけた。その車は築地署に入り、空の車が出てきた。陽動作戦だった。こっそり出てきた2人の捜査員を二手に分かれて追跡した。私が追った捜査員はそこからタクシーと徒歩、電車の乗り降りを繰り返し、振り切ろうとした。南千住駅で捜査員が降りた。私も飛び降りたが、傘が電車のドアに挟まれた。やっとのことで傘を曲げ頭を上げた。
雨の中、捜査員はホームの中程に立ち、こちらを見つめている。その間は5、6秒ほどだったろうか。逃げれば十分振り切れた時間だった。捜査員は小走りに改札口に向かった。改札口を出ると、現場責任者と思われる捜査員が『もう分かったから、ケメラを隠して』と語りかけた。
駅売店の前に立つと、周囲は変装した捜査員とすぐに分かった。全ての視線が一点に集中していた。まもなく、現場責任者が親指を立てた。どこにでもいるサラリーマン風の男を、さりげなく取り囲んでいく。そして車に押し込んだ。わずか数分間の逮捕劇だった」
僕が聞いた一番スリリングだった話は電車で捜査員を追跡中に頭をよぎったのが
映画「フレンチ・コネクション」(71年)のワンシーンがヒントになった。
ジーン・ハックマン演じるニューヨーク市警察本部薬物対策課ドイル部長刑事が
フレンチ・コネクションと呼ばれるマルセイユの黒幕を追い詰めるシーン‥‥。
浅草橋駅?で捜査員が下車した。
ひょっとして降りるフリかもしれないと感じた時、あの傘のシーンが!
閉まる電車のドアに片足をかけてホームを見ると捜査員は車内に戻っていた。
ジーン・ハックマンのおかげで追跡を続けられスクープ撮影につながった。
逮捕に向かった刑事たちを乗せた車に次々とまかれた記者たち。
逮捕の瞬間を撮影した小野義雄カメラマンたちをテーマに
特番「連続企業爆破テロ 40年目の真実」が5月22日午後9時、フジテレビ系で放送される。
小野先輩に今年もOB会でお会いできました。
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スクープを撮る 2.
僕が撮った
高感度モノクロームフィルムと脳裏に焼きついた記憶の潜像
1970年11月25日
三島由紀夫自決事件の検視は
牛込署のガレージで突然始まった
スクープを撮る 3.
ロンドン塔の物館Jewel House
頭上でド〜ンと鈍い音
間近で遭遇した1974年の爆破事件
1974年7月17日